本編

出所当日の朝。いつものように早めに起床したヘイルは身だしなみを整え、必要最低限の荷物をまとめる。 「……こことも、もうお別れか」...

午前7時。カーテンの隙間から漏れる光が部屋を照らし、窓から見える木に留まる小鳥がチュンチュンと鳴き朝を告げる。 ヘイルは小さく欠伸をして起き上がると鏡に向かい、紫から青に変わっていくグラデーションをした綺麗な髪を梳かす。紫と青系色で統一された東国風の服に身を包み、静かに扉を開け部屋を出ると食堂に向かう。...

僕達を育ててくれた人……ラウ先生がいつも、耳にタコができるほど話してくれる遥か昔の物語がある。 この世界は、世界の外に存在し、世界を照らす実体のない概念体…太陽(アフォルシア)と月(ソルカティア)の魔力によって生まれた核に支えられている世界だと言われている。そして核だけだった世界を今の状態まで開拓した、神と呼ばれる存在がいた。...