罪裁者には、"白"の名を持つ青年がいる。
滅多に出動せず出動する度に血塗れになって帰還すると噂されている、罪裁者の中でも周りからよく心配されている存在。
「クラレン、例の喰魂を見つけたっす」
「今回は程々に頼みますよ、ブランさん」
金の罪裁者であるクラレンは、白の罪裁者であるブランに溜息をつきつつも応える。
「貧血になるのは仕方ないじゃないっすか〜。ま、気をつけるっす」
ブランはそう言うと手首につけている、小さな刃物がついたブレスレットを出し、左手の包帯を包帯をほどいて腕を切りつける。すると、血は切り傷から溢れ出し、形がみるみる小さな刃物へと変化する。変化した武器は宙を舞い、標的へと刃先を向ける。
「今日こそは早めに切り上げるっすよ」
ブランが左腕を前に伸ばすと、刃物は一斉に喰魂の元へ向かう。喰魂がかろうじて避けられたとしても、刃先は方向を変え追尾し続ける。
喰魂が動けなくなり、ブランが急いで拘束するとクラレンは小走りで近付いた。
「今回は消費が最小限で済みましたね」
クラレンはそう言うとブランが自ら切った傷に手を翳し、魔力を送り込む。するとみるみる傷は塞がっていく。
「いつも助かるっす」
「そのための私というバディですから。早くそれを連れて帰って報告しますよ」
クラレンの言葉にブランは頷き、拘束した喰魂を抱えてその場を去っていく。
ブランの能力は"自身の血を自由に操る"能力。魔力を直接血とともに体外に出す分、身体への影響も大きい。
だからこそ、回復を専門とするクラレンと共に行動しなければならないのだ。
"白"の罪裁者、ブラン。
血塗れになるのは、能力を発動する度に自身の血を消費するから。
そして心配されるのは……彼の能力が、最も死に近いとされるからなのだ。
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