魔塔の管理人

かつての喰魂夜行(ナイトウォーカー)にて、喰魂(ソウルイート)の巣窟と化した西国 牟斐(ボウヒ)に唯一聳え立つ巨塔がある。

その巨塔の名は"魔塔"。魔力の構造、魔力によって発動する遺物の解析、数多の基礎魔法の開発等、魔力や魔法に関する全てを研究する場であり、鎮救熒(ライトレプリース)牟斐(ボウヒ)支部でもあるのだ。

そんな魔塔には、2人の管理人が存在する。

「本当にあれで大丈夫なの?私からすれば魔力回路をもう少し短く出来ると思うのだけど」

「大丈夫だ、むしろ回路は長い方が安定する。扱い慣れてる俺らならまだしも、他の人間が使うなら慎重な方がいいだろ?」

「むむ、確かにそうね……」

長い廊下を並んで歩きながら話をしている2人……彼らこそが魔塔の管理人であり、西国支部の司令役である。

最高司令のリヒルスキアは、並外れた知識量と魔力の保有量から魔術王の2つ名をもつ叡賢者(エースイントヴェルテ)の1人だ。

その隣にいる少女…ウィズは副司令でありリヒルスキアの補助役である。

『この2人がいるからこそ西国の民は生き延びられている』と崇拝されるほどの力を持つ彼らだが、人間でありながら何千年もこの管理人の座に就いているために、周りからは謎多き存在として語られている。