_これは、始祖13神の1柱である生を司る神により喰魂の降臨と神の座を捨てる決断を迫られた、その直後の話である。
喰魂として堕ちることを選んだ大地の神アーデスは、とある森の奥で各自3度のみ許された"権能"の使用を試みた。
1度目は、自身の分身であり、息子となる存在を"無"から生み出した。
2度目は、その分身に新たな魂と残り1回の権能の使用権利を与えた。
そして新たな生を受けた分身にこう語りかける。
「…貴方にはこれから、重要な役割を頼みたいの。遥か先の未来でおこる、世界の崩壊を…その原因を止めるために、生き延びてもらわなければならない。」
その声を聞き、静かに目を開けた分身は母であるアーデスをじっと見つめる。
アーデスはその目を見つめ返して続ける。
「その為には崩壊を招く原因が…黒幕が貴方に接触するのを避けなければならないの。だから貴方には万物を退ける"城"を作り、然るべき時まで生き抜いてほしいの。」
アーデスの願いに、手に入れたばかりの口を開き、声を出す。
「……母なる者。何故、我のような産まれたばかりの分身にそのような大事を頼むのだ」
「貴方だからよ、私の分身であり愛しい息子。私はこの世界の未来を知っている…だからこそ、黒幕に近いうちに殺されるかもしれない。未来で現れるはずの黒幕を止めてくれる者たちに私の持つ情報を与えるには……貴方を作り出すしかなかった」
母の死の運命を唐突に告げられ、分身は微かに目を見開く。
「だから貴方には私が使える最後の権能を与えたわ。その権能は貴方が使うべきだと判断した時に使いなさい。そして必ず貴方は生き抜いて…世界の崩壊を止めるの。」
母の真剣な表情をじっと見つめていた分身は、小さく頷いた。
「……母なる者。我はその命令に従おう。」
アーデスはその言葉を聞いて安心したかのように表情を緩めた。そしてアーデスはその分身に名前を与えた。
「デュアルヴェイン…それがあなたの名前よ。いい?今から貴方に教える情報は、この世界の未来の全て…決して、忘れないようにね」
アーデスは受け入れるように目を閉じた分身…デュアルヴェインに向けて手を翳すと、持ちうる情報を全て共有した。
デュアルヴェインは目を開き、告げる。
「…了承した、母なる者。我が命に懸けて、情報を…この世界を、守り抜くと誓おう。」
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