カテゴリ:罪咎の創始



「そういえば、べレトはどうして鎮救熒(ライトレプリース)になったの?」 ある日の任務帰り、ヴァイスはべレトにそう問いかけた。 「特に理由はねぇな。てめぇと同じで俺も保護された身だったし」 べレトはそう言うとふぅ、と息を吐いた。 「保護されたってことは……べレトの両親は?」...

デュアルヴェイン陣営の拠点の台所。ヘレシウスはそこであるものを作っていた。 「……こんなものか。数十年ぶりに作ったが出来は悪くないだろう」 目の前にあるのは箱に綺麗に詰められた、様々な色をしたマカロンだった。...

主が眠っている間、"彼"はかつての姿へと形を変え、最凶の番人と化す。 「警戒心がないな、俺の主は。……まぁそれだけ俺を信頼してくれているのなら、少しくらいは頑張ってやるか」 暴食の喰魂(ソウルイート)オブルーク……彼は今日も親愛なる主を守るために、その力を振るう。...

かつての喰魂夜行(ナイトウォーカー)にて、喰魂(ソウルイート)の巣窟と化した西国 牟斐(ボウヒ)に唯一聳え立つ巨塔がある。 その巨塔の名は"魔塔"。魔力の構造、魔力によって発動する遺物の解析、数多の基礎魔法の開発等、魔力や魔法に関する全てを研究する場であり、鎮救熒(ライトレプリース)の牟斐(ボウヒ)支部でもあるのだ。...

…ああ、彼女を失って何年が経ったのだろうか。 付き合うことになってから毎年、この2月14日にハート型のチョコレートをプレゼントしてくれた俺の愛しい妻。 彼女…トリーは絶望的に料理が下手で台所に立たせることすら恐ろしかったが、この特別な日だけは目を瞑ってしまうのだ。...

東国...鳳潟(ホウガタ)は、平和主義を掲げる皇家の者が守護者として統治している。 皇家は三兄弟のことを表し、昼の統治者である長男 伯王と夜の統治者である次男 王惺、そしてその2人を支える三男 王牙の3人である。...

中央国アトルチュアの西部にある森に、"彼"はいる。 木の上でじっと獲物を見定める。 "彼"の視線の先には調査に来たであろう男性。辺りを見回しながら、怯えた様子で森を進んでいく。 「うーん……今日は彼奴でいっか」 "彼"はボソッとそう呟くと、指先から伸びる糸をぐっと引く。すると「うわっ!?」という叫び声とキリキリキリ…という音が同時に聞こえてきた。...

「おや、貴方と会うのは初めてですね。」 南国の観光中、君は1人の青年に話しかけられる。 「私は主様…デュアルヴェイン様にお仕えしているグラミアと申します。名前の他に強欲の喰魂(ソウルイート)などと呼ばれておりますが、どうぞお好きなようにお呼びください。」...

_これは、始祖13神の1柱である生を司る神により喰魂(ソウルイート)の降臨と神の座を捨てる決断を迫られた、その直後の話である。 喰魂(ソウルイート)として堕ちることを選んだ大地の神アーデスは、とある森の奥で各自3度のみ許された"権能"の使用を試みた。 1度目は、自身の分身であり、息子となる存在を"無"から生み出した。...

…これは、遥か昔の話。 「おいオブルーク、貴様は何故主...デュアルヴェインに仕えているのだ」 傲慢の喰魂(ソウルイート)、ヘレシウスは暴食の喰魂(ソウルイート)オブルークにそう質問した時があった。 オブルークはそんなことか、と口角を上げてこう答えた。...